ショップでもよく目にする『みつろうラップ』。かわいくラッピングできるし、エコなのですが、デメリットと感じる部分もあります。今回はそんな『みつろうラップ』のメリット・デメリット・作り方をご紹介します。
みつろうラップとは
まずは、私たちが普段使っているラップについて簡単にお話しますね。
家庭で使っているラップは、一般的に『ポリ塩化ビニリデン(polyvinylidene chloride・PVDC)』というものを使っているのが主流。
それは、私たちがラップに求めている密着性、におい移り防止、熱に対する強さなどの機能が『ポリ塩化ビニリデン』にあるからです。
塩素を含むビニリデン基を重合させた、非晶性の熱可塑性樹脂に属する合成樹脂である『ポリ塩化ビニリデン』は、生活の中でとても便利に使われているものですが、近年環境への負荷が大きいと心配されています。
そこでラップの代わりになるものとして話題になっているものが『みつろうラップ』。
『みつろうラップ』は、その名の通り『みつろう』を使ったラッピング材。
ポリ塩化ビニリデンのラップの代わりに使用する、エコなラップという感じです。
みつろうとは
ところで『みつろうラップ』の『みつろう』とは何でしょうか。
『みつろう』とは、ミツバチから取れる天然ワックスのことで、未精製で本来の色や香りをそのまま残した黄色っぽいものと精製されて白いものがあります。
こちらは精製された白っぽい方のみつろうです。
みつろうは、ホホバオイルなどのオイルとエッセンシャルオイル(精油)を加えてハンドクリームやリップクリームをつくことができます。
市販のハンドクリームやリップクリームにも、みつろうを使った製品があり、私が使っているものもそういった製品です。ロゴナのリップクリームなどですね。
また、みつろうでつくられているミツバチの巣は、コムハニー(巣みつ)とよばれて、巣ごと食べることができます。本格的なカヌレにもみつろうは使用されていますね。
このように『みつろう』は、コスメ原料として使われたり、食べたり、また医療でも使われる天然素材です。
みつろうラップのつくり方
みつろうラップのつくり方はとても簡単です。
今回はカリス成城のビーズワックスを使用してつくりました。
用意するもの
・新聞紙など蝋が溶けて汚れないように敷くもの
・クッキングシート
・ビーズワックス(みつろう)粒タイプ
・好みの布
・アイロン
つくり方
ひとことで言うと『布にみつろうを染み込ませて乾かす』です。
- 新聞紙→クッキングシート→布→みつろう(均等に散らばせて)→クッキングシートの順に、ハンバーガーのように重ねていく。
- 一番上にあるクッキングシートの上からアイロンをかけ、みつろうを溶かしていく。
- みつろうを乾かして出来上がり。
とても簡単ですね。
このように一番下に新聞紙や雑誌など、机に蝋が付かないように保護するものを敷きます。
画像では赤くみえるものが雑誌です。
その上にクッキングシートを敷き、布を置きます。
そして、みつろうを布の上に置きます。
小さな粒々を40個置いてみましたが、ちょっと多かったです。30個くらいで十分。(10㎝×10㎝ブロード)
そして、クッキングシートを上に置き、アイロンをかけます。
すると、あっという間にみつろうが溶けて布に染みわたります。
蝋が溶けてアイロンにつかないように注意してくださいね。(私はアイロンについてしまい、アイロンから煙がでました)
みつろうは、すぐに固まり始めるので、布を取り上げて乾かします。
とりあえず、こんな風に乾かしてみましたが、あっという間に乾きます。
そして、こんな感じにラッピングできます。
今回、布は約10㎝×10㎝の正方形にカットしたもの3種類の素材で試しました。
ギンガムチェックと花柄はブロード。ピンク色はダブルガーゼです。紺色はシーチング。
生地の厚さはブロードが一番薄く、シーチングはブロードよりやや厚めといった感じです。
ダブルガーゼは、柔らかい感じでふわっとしているので、厚みは感じますね。
ブロード、シーチング、ダブルガーゼの3種類がみつろうラップになったとき、容器を覆う機能として一番使いやすかったのはブロードです。
けれど、用途によってどれがよいかは違うと思うので、いくつかの種類で試してみるとよいと思います。
ちなみにダブルガーゼが一番しっかりと硬いものになりました。
ガーゼがより多く、みつろうを吸ったのではないでしょうか。
つくるのがとても簡単で、何だかとっても楽しい・・です。
(インスタグラムにも作り方をのせています)
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メリットとデメリット
ところで、みなさんは実際に『みつろう』を触ったり、使ったりしたことはありますか?
私は子どもたちが小さい頃、とてもよく使っていたものに『みつろうねんど』があります。
みつろうねんどは手につきにくく、そして香りが穏やか。私たちが幼少の頃にあった『ろうねんど』と同じような感じです。
『ろうねんど』や『みつろうねんど』は手で温めながら形を整えて、何かをつくって楽しむものですよね。
そのことからもわかるように、『みつろう』は、手の温度でも十分に柔らかくなるため、容器にしっかりと蓋をしようと、念入りに触っていると、容器に蝋がついてしまうんです。
なので、温かいものにはNGというところがデメリットです。
温かいものにはNGということは、電子レンジには使えないということでもあります。
そして温度の高めのお湯で洗うと、みつろうが柔らかくなるので、ヌルっと感がでます。
メリットは、
・使い捨てにしないのでエコ
・作り方も使い方も超シンプル
・見た目がかわいらしい
と多くの皆さんがおっしゃっている通り!
みつろうラップつくりのまとめ
メリット
つくり方も使い方も超シンプルでエコ
デメリット
温かいものには不向き
一度つくってみて、使用感を自分で感じることが大切だと思います!
例えば、うっかり温度高めのお湯で洗ってしまいヌルヌルしてしまった、という場合は、とりあえず今回はそのヌルヌルを爪周り塗っちゃおうかな・・とか、次は何℃くらいなら大丈夫か試してみよう・・とか。
エコでかわいいけれど、なんか面倒・・と思ったら、ほかにエコなラップはないかな?と考えてみるとか・・。
自分には合わないなとか、とてもいいなとかといった感想を持つことで、自分の好みや暮らしのスタイルなどが再確認できて、より快適な暮らし方をつくっていくことができると思います。
まずは、使ってみるのが一番かな?と。
作ってみたい方は、もちろん材料は通販でサクッと揃いますので、すぐに試作できますよ!
環境にやさしいラップ
みつろうラップのことを知って、現在便利に使っている一般的なラップの原料が、環境によくないと気づいて(今頃ですが・・)、みつろうラップ以外に何かないかなあ・・と探してみました。
すると、一般的なラップの中には、ポリエチレンのラップがあるのを発見!
ポリエチレン製品というと、スーパーの袋やおせんべいなどの袋を思い浮かべますよね。ポリエチレンは水素と炭素しか含まれていないので、燃やしたときにダイオキシンが発生することはありません。
この観点からみると、環境に優しい素材といえますね。
ちなみにこのラップやレジ袋などを製造する場合、袋になる前のポリエチレンは『レジン』という粒状の形をして納品されるようです。
レジンでアクセサリーを作ったことがある方には聞き覚えのあるものですよね。
私はこんな子ども用の髪ゴムとピンをつくったことがあります。
つくるって楽しいですよね。
まとめ
みつろうラップは、エコで便利で、かわいく、経済的な優れもの。けれど、生活スタイルは人それぞれなので、誰にでも『便利』とはいえません。
自分で使ってみて、自分にとって使いやすいものを選ぶことが何よりも大切ですね。
みつろうがあまったら、リップクリームをつくりませんか?
リップと同じ材料で、ハンドクリームも作ることができます。
言の葉メモ
『言の葉メモ』というコーナーをつくってみました。ときどき書かせていただこうと思っています。
内容は『言葉』にまつわるちょっとしたお話しという感じです。
今回はこちら。
私が前述した『コムハニー(巣みつ)とよばれて、巣ごと食べることができます。』という文章内の『食べる』についてです。
今回文章中で『食べる』と書くか『いただく』と書くか迷いました。なぜかというと、最近よく『食べる』という言葉を耳にしなくなったなあと思ったからです。たいてい、みなさん『いただく』と使われますよね。
日本語はとても難しいなあ・・と思うのですが、この『食べる』は、
丁寧語は『食べます』
尊敬語は『召し上がる』や『お食べになる』
謙譲語で『いただく』といいます。
謙譲語はなかなか難しいですよね。例えば『いただく』という場合は相手に対して自分がへりくだることで相手を立てて『食べる』ということになります。
謙譲語は簡単にいうと自分がへりくだることで相手を立てる場合に使う言葉なんです。
コムハニーを立てるために自分がへりくだるのはどうなのかな?けれどコムハニーを生産している方を立てるために自分がへりくだるなら、それはそれでおかしくないのか・・。悩みますね。
今回の場合に関しては『食べる』でよいと思いますが、言葉の使い方は本当に難しいときがありますね。
ご紹介しているレシピの反応には個人差があります。ご利用される前に必ずパッチテストを行い、違和感がある場合はすぐに使用を中止してください。ご自身の責任でお試しいただきますようお願いします。